001005|exonpa|超音波
超音波とは(7)
前回までは「超音波技術応用製品」について学んできましたが、今回からは超音波の特性について学んでみたいと思います。
超音波を学ぶにあたり、まずは「音響インピーダンス」と言う言葉について学ぶ必要があります。
「音響インピーダンス」とは、どれだけ波動エネルギーを伝播しやすいと言う事であり、音響インピーダンスが高いほど、同じパワー密度の音波を伝播させるのに有利になります。
尚、音響インピーダンスは以下の式で求められます。
Z0=P/v=ωρ/K=ρ・C
Z0・・・音響インピーダンス
P・・・・音圧レベル
v・・・・粒子速度
ω・・・・角振動数
ρ・・・・伝播媒質密度
K・・・・位相乗数
C・・・・音速
・・・解りづらいですね。以下に固体(鋼)、水、空気のρ・Cを紹介します。
上記にあるように、気体より液体、液体より固体が音響インピーダンスが高い傾向にあります。
また音響インピーダンスが異なる2つの媒質間では、音波の反射が生じますが、2つの媒質の音響インピーダンスの差異が大きい程、反射が大きくなり音波の透過がしづらくなります。
著者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年12月12日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |
超音波とは(6)
第六回目は「超音波応用製品」について、学んでみたいと思います。
筆者のブログをご覧になっていただいた方は、
「超音波が遠い未来の特別な技術ではなく、私たちの身近にある技術」
と言う事を感じて頂いたと思いますが、実際に私達の身近にある「超音波技術応用製品」を纏めてみました。
上記の他にも多くの超音波応用製品が、私たちの生活を支えています。
皆さんもちょっと気にしてみては?
著者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年11月06日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |
超音波とは(5)
第五回目は「超音波の発射」について、学んでみたいと思います。
超音波を発射する代表的な方法として、「圧電セラミック」の圧電効果を利用する方法があります。
下図が圧電効果の原理図です。
まず図(A)の場合、上部に電源のプラス極を、また下部に電源のマイナス極を印加していますので、圧電素子の内部電荷と印加電圧がそれぞれ反発し、圧電素子は圧縮されます。
これに対し、図(B)の場合、上部に電源のマイナス極を、また下部に電源のプラス極を印加していますので、先程の反対の現象(圧電素子の伸張)が発生します。
圧電素子に交流電圧を印加した場合、その周波数に応じて図(A)、図(B)の運動が交互に発生しますので、この運動に応じて超音波エネルギーが発射されます。
図(A) 図(B)
こうして得られた超音波エネルギーが、超音波技術応用製品として様々な分野で利用されています。
次回からは私たちの生活の実際に使われている超音波応用製品についてご紹介したいと思います。
著者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年09月30日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |
超音波とは(4)
こんにちは。超音波太郎です。
多くの方が8月11日週に「お盆休み」を取られたと思いますが、いかがでしたでしょうか?
筆者は「北京オリンピック」で寝不足になり、ようやく「休みボケ」から復帰した・・・と言った感じです(上司には言えませんが・・・)
閑話休題。
第四回目は「超音波応用技術の基本(動力的応用)」について、学んでみたいと思います。
前回勉強した「情報的応用」は、水中(液中)を伝播する超音波の反射波や伝播速度などの情報を基に物質の有無や液体濃度などの情報入手、音声を超音波信号に変調して水中での無線コミュニケーションなどの応用例でしたが、今回の「動力的応用製品」は、超音波振動そのものによる物理的効果を目的とした製品です。
この「動力的応用」分野で最も有名なのが「超音波洗浄器」と言えるのではないでしょうか?
元々は精密部品洗浄用に開発された製品ですが、最近では超音波洗濯機や超音波美顔器なんて製品も見かけますね。
また超音波の「動力的応用」として、超音波加工機も代表例に挙げられます。
超音波振動エネルギーにより接着や切断などの様々な加工が行えます。(歯磨き粉のチューブ底面などの接着などは超音波溶着機がよく用いられています)
また当社製品の「ダクテュロイ」は、ドリルや旋盤などの加工機(刃具)に超音波振動を与え、通常では出来ない材質の加工や、刃具の寿命延長、加工精度向上などの効果を得る事が出来ます。
「動力的応用」においても超音波は様々な分野で応用されています。
次回は「超音波の発射方法」について、ご紹介したいと思います。
著者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年09月04日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |
超音波とは(3)
こんにちは。
超音波太郎です。
長期出張の為に投稿出来ませんでしたが、「飽きた」「面倒になった」訳ではありません。
今後も宜しくお願いします。 (出来たらトラックバックも・・・)
閑話休題。
第三回目は「超音波応用技術の基本」について、学んでみたいと思います。
全部纏めて勉強していくのは大変ですので、今回は『情報的応用』について学んでいきたいと思います。
『情報的応用製品』とは、どんなものがあるのでしょうか?
皆さんに一番馴染みがあるのは、潜水艦ソナーや胎児エコー診断装置かと思います。
細かな原理は省きますが、これらの製品は超音波の「反射しやすい」と言う特性を利用して、水中(液中)に超音波を発信し、この反響音を得る事で物質の有無や距離を測る事が出来ます。
また超音波の波長・伝播速度が距離計測に適当であるため、ソナーやエコーなどの水中(液中)利用だけでなく、カーコーナーセンサーなどの空中における距離計測器(障害物検出器)としても用いられています。
当社『FIT PHONE』も「情報的応用製品」の代表例と言えると思います。
ダイバーさんの『声』を超音波信号に変換して、船上や他のダイバーさんと相互音声通信を行う事が出来ます。
簡単に言うとトランシーバの水中版なのですが、以前のブログでご紹介した様に通常のトランシーバで用いられる『電波』は水中を伝播する事が出来ない為、電波に変わり超音波を利用した無線通信器となっています。
また、当社『超音波濃度計』も「情報的応用製品」の一環と言えます。
何となく「濃度計が情報応用製品?」と思いがちですが、測定対象溶液に超音波信号を発信し、溶液の超音波伝播速度を計測する事により測定対象溶液濃度「情報」を得られる「情報的応用製品」と言えます。
「情報的応用」だけでも様々な分野・方法で超音波技術は用いられています。
次回は「動力的応用(強力超音波)」について、ご紹介したいと思います。
著者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年08月05日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |
超音波とは(2)
前回の投稿で、超音波の定義について「聞こえない音波」としていましたが、近年では技術の進歩に伴い応用範囲が広がり、次のように定義されています。
『超音波技術とは、人が聞く事を目的としない音波の応用に関する技術』
矢沢公彦著 超音波の知識 より
話し言葉や音楽などでは、音波をコミュニケーションとして利用しています。
それ以外の方法で利用する技術を周波数に無関係で超音波技術と言うようになりました。
ちなみに当社の超音波粘度計のホーンは13kHzで振動しています。
振動音は耳の良い若い人には聞こえます。
当社粘度計をご利用の際はトライしてみてください。
(ちなみに筆者は聞こえます)
閑話休題。
第二回目は「音波と電波の違い」について、学んでみたいと思います。
音波も電波も同じ波動エネルギーであり振動です。
両者には多くの共通点も見られます。
しかし音波(音響エネルギー)と電波(電磁界エネルギー)の大きな違いとしてエネルギーの伝達方法があげられます。
音波(音響エネルギー)は振動媒体(固体・液体・気体)を通じてそのエネルギーを伝達しますが、音波(電磁界エネルギー)は電界と磁界による電磁界振動であるため、振動媒体を必要としません。
・・・分かり辛いので例をあげて、考えて見ましょう。
SF映画などでは、宇宙空間での隕石の衝突や戦闘シーンで大きな効果音が使われていますが、振動媒体の無い宇宙空間では実際にはどんなに近くにいてもこれらの音が聞こえる(伝わる)事はありません。
(もちろん自分が隕石の上に立っていれば隕石を媒体として音は伝わってきます)
一方で電波は衛星放送に代表される様に、何も無い宇宙空間でも伝達する事が可能です。
こうやって書くと「電波の方が優れている」様に感じますが、海中など電磁界エネルギーが伝達出来ない条件も多数あります。
当社は「超音波応用製品の開発・製造・販売」ですので、電波応用製品は手がけていませんが、世の中にはそれぞれの特長を生かした応用製品が数多く生産されています。
次回は超音波応用技術の基礎について勉強したいと思います。
著者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年07月05日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |
超音波とは
当社ウェブサイトをご訪問頂いた方は既にご存知かと思いますが、当社は超音波技術を核にした製品開発・製造・販売を行っています。
しかし、当ブログには『超音波』の『超』の字も出てこず「とってもフランクなブログ☆」感が前面に押し出されています。
「これも如何なものか・・・」と暫し悩んだ結果、「超音波ブログ始めました!」的な軽いノリで筆者が超音波に関するカテゴリーに投稿する事としました。
筆者も技術者ではありませんので、皆さんと一緒に『超音波の基本』について学んでいけたらと思います。
どうぞ、宜しくお願いします。
第一回目のテーマは『超音波とは(1)』です。『超音波』って聞くと何やら難しいイメージで、筆者も当社に入社するまでは『白衣を着た博士』や『ロボットアニメの必殺技』を思い浮かんだものです。では、一体『超音波』って何なのでしょう?
=超音波の定義=
『振動数が毎秒2万ヘルツ以上で定常音として耳に感じない音』(広辞苑)
『正常な聴力を持つ人に聴感覚を生じないほど周波数(振動数)が高い音波(弾性波)』(JIS用語辞典)
ちょっと堅苦しい表現ですが、要するに『聞こえない領域の振幅(周波数)特性を持った音(音波・弾性波)』と言う事です。
ちなみに人間の耳で聞き取れない周波数は『20Hz以下の低周波』と『20KHz(2万Hz)以上の高周波』2つが一般的な定義とされています。
この内、超音波眼鏡洗浄器やソナーなどの超音波応用製品に使われているのは『20KHz以上の高周波』がほとんどです。
当社も『超音波液体濃度計』『超音波水中通信機』『超音波振動切削装置』など、様々な超音波製品を生産していますが、すべて『20KHz以上の高周波』を利用しています。
ここまで読んで頂いた方の中には「音波とか電波とかって良く聞くけど、違いが分からん!!」とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、それはまた次回のお楽しみと言うことで。。。
筆者:超音波太郎
私達、富士工業株式会社は、 『超音波技術を介し、価値を創造し、その価値をお客様と共有する』 を企業理念に掲げています。 各種液体のプロセス・品質の最適管理に「超音波」をお勧めするその理由を知ってください。 |
2008年06月13日 | このページのURL | コメント (1) | トラックバック (0) |