2021年05月
「夢の楽器」
先日、私が所属している地元吹奏楽団の演奏会が行われました。
新型コロナの影響もあり、お客さんもほとんど来ないのでは、と思われていましたが、予想以上たくさんのお客さんに集まっていただき、良い演奏会ができました。
私が担当する楽器はティンパニという打楽器で、どういう楽器か知らない人も多いと思います。
見た目は銅色した巨大なお釜にヘッド(太鼓の皮)を張ったもので、吹奏楽やオーケストラでは必ずといっていいほど使われています。
有名なところではリヒャルト・シュトラウス作曲の「ツァラトゥストラはかく語りき」という曲(2001年宇宙の旅と言った方がわかるかもしれません。)の冒頭でトランペットのファンファーレの後にデンドンデンドンやってるアレです。
演奏は楽しいので大好きなのですが、実は私、ティンパニという楽器はあまり好きではないのです。理由はただ一つ、「チューニングがめんどくさい!!」からです。
ティンパニは私が知る限り、いわゆる太鼓と呼ばれる楽器の中では唯一の音階楽器で、それ故あれは打楽器ではないという人もいるほどです。
この音階があるという特徴が実に曲者で、通常4個ぐらい並べて使うのですが、その場合出せる音階は当然4つだけです。
でも1オクターブはドレミファソラシと、その間にある半音階を合わせると12音あるので、自由にフレーズを奏でることはできません。
そこで、作曲者はこの4つの音階でどれだけ音楽に効果を与えることができるのか腕を振るうわけです。
古典的なクラシック曲はわりと4つ以内の音階で済ますことができます。(さすが音楽の教科書に載るような作曲家さんはわかってらっしゃる!)
しかし現代曲になると、容赦なく音数が要求され、場合によってはティンパニが10個あっても足りないような曲があります。
じゃあ、10個並べればいいじゃん、って話にもなりますが、ティンパニは大体直径が30インチ(76センチ)ぐらいあるので自分中心に10個も並べると、とてつもないスペースが必要ですし、間違いなくバンドメンバーに邪魔って怒られちゃいます。
そこで、私の嫌いなチューニングが登場するわけです。
曲の途中で数限りのあるティンパニをチューニングして、音程を変えながら演奏するのですが、これが私にとっては苦行以外の何物でもでもないのです。
最新式のティンパニのチューニング方法は大抵足踏みペダル方式で、高速チューニングが可能ですが、私のバンドで使っているティンパニは40年以上も前のハンドルをぐるぐる回す方式で、チューニングスピードはペダル方式の足元にも及びません。
したがって、演奏中は絶えずハンドルをぐるぐる回していて、肝心の演奏に全然集中できません。 アレグロで2〜3拍以内にチューニングしなければならないような鬼曲も少なくなく、「こんなんできるかーーーっ」て楽譜を投げ飛ばしたくなることもしばしばあります。
これ、ホントにストレス溜まります。
そこで、こんなティンパニがあったらいいなってのを考えてみました。
まずチューニングは電子制御化する。具体的にはティンパニの上面部あたりに音階スイッチを配置し、希望の音程ボタンを押したら、直ちに内蔵しているステッピングモータによってヘッドのテンションを変えて、音程を変更します。
要は手でぐるぐる回している部分をモータにやらせるわけです。
当然周波数モニタも内蔵し、リアルタイムで周波数を監視します。
少しでもチューニングがずれたら瞬時に周波数のずれをフィードバックしてモータに微調整させます。
これだけで大満足な仕様なのですが、夢と妄想はさらに加速します。
これができたら次は音替え順序のプログラム化です。
曲によってティンパニの音を変える順序は決まっているので、これをプログラム化して、ボタン一つで複数のティンパニのチューニングが次の組み合わせになるように変更できれば、もう言うことはありません。
100%演奏に専念できる夢のような環境の出来上がりです。
だから、どうか楽器メーカーさん、こんなティンパニを作ってください。
高くて買えないと思いますが...。
投稿者:事業開発グループ
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2021年05月01日 | このページのURL | コメント (0) | トラックバック (0) |